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森の大谷海岸

地質学的にも見どころありの大谷海岸

伊予市森の海岸線を双海町に向けて歩いていると、山肌が露わになっている場所があります。大谷海岸と呼ばれるこの海岸線では、1,800mにわたって地質学上、新生代第三紀の終わりから第四紀の初め(2300万年前~160万年前)に堆積したと考えられている地層を観察することができます。

礫(れき)から泥の層が繰り返し堆積しており、一部には、火山灰を含んだり、緑色片岩の砂を含む層があります。礫層に含まれる礫の種類も豊富で、中予地方に分布する地層や岩石の大部分をこの海岸で見ることができます。地層の傾斜は80度近くあり、傾きが急なのは中央構造線(関東から九州に伸びる長大な断層)の活動とともに堆積したためではないかと考えられています。

古代植物の化石が今でも見つかるかも

この地層から多くの珪化木(埋もれ木、遺体植物)が出ており、「扶桑木(ふそうぼく)」(県指定天然記念物)と呼ばれています。

約100万年以前に茂っていた、メタセコイヤ、トガサワラ、オオバラモミ、ハンノキ、マンサクなどの古代植物の化石で、現在はそうそう海岸に転がってはいませんが、岩肌に目を凝らすと石の裂け目から黒い炭のようなものが顔を出しているのが分かります。


他にも、運がよければ、カエデ類、ミズキ類、ヤナギ類などの葉っぱや木の実の化石、シジミやタニシなどの貝の化石も見つかります。

「扶桑木」という呼称には大きな伝説が

「扶桑」とは、古代中国で日が昇る東の海の中にあるとされた神木のこと。転じて、日本のことを「扶桑国」とも呼びました。では、なぜ大谷海岸の植物の化石が「扶桑木」と呼ばれるのか。それは伊予市に残る伝説に由来します。

その昔、伊予市には天にも届かんとする1本の巨木が生えていました。あまりの大きさに、この木の西側では朝日を、東側では夕日を見ることができないほどでした。

九州では木の陰のせいで農作物が育たず、困った末にこの木を切り倒しにやってきました。倒れた木は大分県に届くほどもあり、人々は木の上を歩いて大分まで帰ることができたといいます。

伊予市内各地で出土した大きな珪化木は、この巨木の化石だと信じられ、中国故事になぞらえて「扶桑木」と呼ばれるようになりました。

住所 伊予市森
お問い合わせ 089-983-4051(伊予市教育委員会社会教育課文化財担当)
営業時間 散策自由
駐車場 無し ※路肩に駐車される場合は通行車両にご注意ください
サイトURL https://www.city.iyo.lg.jp/machizukuri/kanko/guidemap/shiosai.html

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